(動物を殺す場合の方法)

第四十条 動物を殺さなければならない場合には、できる限りその動物に苦痛を与えない方法によつてしなければならない。
2 環境大臣は、関係行政機関の長と協議して、前項の方法に関し必要な事項を定めることができる。

②動物を科学上の利用に供する場合の方法、事後措置等)

第四十一条 動物を教育、試験研究又は生物学的製剤の製造の用その他の科学上の利用に供する場合には、科学上の利用の目的を達することができる範囲において、できる限り動物を供する方法に代わり得るものを利用すること、できる限りその利用に供される動物の数を少なくすること等により動物を適切に利用することに配慮するものとする。
2 動物を科学上の利用に供する場合には、その利用に必要な限度において、できる限りその動物に苦痛を与えない方法によつてしなければならない。 3 動物が科学上の利用に供された後において回復の見込みのない状態に陥つている場合には、その科学上の利用に供した者は、直ちに、できる限り苦痛を与えない方法によつてその動物を処分しなければならない。
4 環境大臣は、関係行政機関の長と協議して、第二項の方法及び前項の措置に関しよるべき基準を定めることができる。

(経過措置)

第四十二条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。

(審議会の意見の聴取)

第四十三条 環境大臣は、基本指針の策定、第七条第四項、第十二条第一項、第二十一条第一項、第二十七条第一項第一号若しくは第四十一条第四項の基準の設定、第二十五条第一項の事態の設定又は第三十五条第五項(第三十六条第三項において準用する場合を含む。)若しくは第四十条第二項の定めをしようとするときは、中央環境審議会の意見を聴かなければならない。これらの基本指針、基準、事態又は定めを変更し、又は廃止しようとするときも、同様とする。


用語解説
①必要な事項を定める

動物の殺処分方法に関する指針のことを指す。

②動物を科学上の利用に供する場合の方法

研究者の自主管理の中実施される動物実験を適正化するために作成されたガイドラインがある。 「動物実験の適正な実施に向けたガイドライン」(日本学術会議) 「研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針」(文部科学省)

③動物を供する方法に代わり得るものを利用する

動物実験における原則”3R”の「Replacement代替法の活用」について明記されている部分。「代替法の利用」とは、目的が達成できる培養細胞やコンピュータシミュレーションなどがあればそちらを活用して、できるだけ生きた動物を使わずに実験すること。

④動物の数を少なくする

動物実験における原則”3R”の「Reduction使用数の削減」について明記されている部分。「使用数の削減」とは、過去に行われた実験と重複しないように、あるいは先行実験などを良く検討して少ない動物数でデータを得られるように、計画をよく練ること。

⑤動物に苦痛を与えない

動物実験における原則”3R”の「Refinement苦痛の軽減」について明記されている部分。 「苦痛の軽減」とは、動物の苦痛を理解し、薬剤の活用や手技の向上によって、実験に差し支えない範囲で苦痛を減らすことをいう。

⑥措置に関しよるべき基準を定める

実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準のことを指す。

⑦所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定める

動物の愛護及び管理に関する法律 第10条第1項 の動物取扱業者を政令により追加する等,この法律に基づく政令等の制定・改廃に伴う所要の経過措置を定めることができる旨を規定したもの。 経過措置というのは,法令が改正されて対象者に不利益が生じる場合などに設けられる措置全般のことを指す。 例えば,何らかの職業を営むことに免許が必要だと法律で定められているとして,その免許の有効期間が5年だったのが,法律の改正により3年間に短縮されると突然免許が失効してしまう人たちが生じる。その場合に法律の附則に,「改正前の第○条の規定に基づき交付された免許については,なお従前の例による」などとした規定を設けて,その附則の規定を根拠に,改正前の法律に基づいて交付された5年間有効の免許を,当初の有効期間内は有効なままにするなどが経過措置になる。

⑧基本指針の策定

動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針のことを指す。

⑨中央環境審議会の意見

「中央環境審議会」とは、動愛法改正のパブリックコメントを審議しているところ。
・中央審議会とは (環境基本法第41条の一部抜粋) 第41条 環境省に、中央環境審議会を置く。 
2 中央環境審議会は、次に掲げる事務をつかさどる。 
 1.環境基本計画に関し、第15条第3項に規定する事項を処理すること。
 2.環境大臣又は関係大臣の諮問に応じ、環境の保全に関する重要事項を調査審議すること。
 3.動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号)<中略>によりその権限に属させられた事項を処理すること。
3 中央環境審議会は、前項に規定する事項に関し、環境大臣又は関係大臣に意見を述べることができる。
《改正》平11法1024 前2項に定めるもののほか、中央環境審議会の組織、所掌事務及び委員その他の職員その他中央環境審議会に関し必要な事項については、政令で定める。

(環境基本法第15条 第3項の一部抜粋)
環境大臣は、中央環境審議会の意見を聴いて、環境基本計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。

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